2015/07/17

気になるニュース

本日は、気になるニュースがいくつかありました。


青木昌彦先生と南部陽一郎先生


青木昌彦先生と南部陽一郎先生が亡くなりました。
青木昌彦先生の著作で、いままでは読んだことがあるのは、次の三冊しかありません。
「制度」の分析を中心に据える経済学者で、法学とは一番親和性がある学派だと思います。


・「私の履歴書―人生越境ゲーム」
・「比較制度分析序説―経済システムの進化と多元性」
・「青木昌彦の経済学入門 ─制度論の地平を拡げる」



最初に「比較制度分析序説」を読みましたが、米国の会社法制度と日本のメガバンク制度をざっくり比較してあるだけで、文体や語句もわかりにくく、正直得るものはあまりなかったという印象でした。おそらく出版されたのがだいぶ前だったので、現在では通説化しており、新鮮味が薄れたのだと思います。

「私の履歴書」の方は、学生時代に、ブントからの転向したこと、西部邁と絶交する経緯などが具体的に描かれていて、面白い読みものでした。
また、
「青木昌彦の経済学入門」は新書で、いろんなところで書いた記事をまとめたものでした。あんまり印象に残っていませんが、読み返すといい本です。

独立行政法人のガバナンスの問題についても早くから指摘しており、さすがだと思います。


南部陽一郎先生は、素粒子物理学会のスーパースターで、他のノーベル賞受賞者と比較しても桁外れの天才でした。

南部先生のすごさを解説した記事はこちらです↓



ヒッグスも南部先生から示唆を受けています。


「素粒子論の発展」は日本語で書いてある論文集です。これを読めば、南部陽一郎先生のすごさがわかります。対談とかも含まれており、凡人でも読めるところがありました。 



新国立競技場と安保法案


新国立競技場の現行案が見直されることが表明されて、他方、安保法案が衆議院本会議を通過しました。
安倍首相は、これで強力なリーダーシップを見せることができました。
新国立競技場の件を白紙に戻す、なんて予想外でした。
ただ、安部首相には、そもそも建設の専門知識はないはずだとすれば、既に国土交通省、設計者やゼネコンとも打ち合わせをするなどして、前々から検討していたのではないでしょうか。
正直申し上げて、いいか悪いかは別にして、よく決断できたな、と感心します。

世論を介して、憲法9条と集団的自衛権の問題と新国立競技場の問題が関係してきました。

安保法案が衆院本会議を通過しているとおり、
憲法第9条は、付随的審査制の下では、所詮、プログラム規定程度の効力しかありません(少数説ですが、、、)。
政治的マニュフェストに過ぎないということを、憲法第9条フェチの人は、理解する必要があります。

いくら憲法第9条違反を叫んでも、憲法学者が、違憲だと述べても、議会で、賛成多数であれば、法案は成立します。司法の場では、事件性のあるものしか審査対象にならないですし、事件性があっても、統治行為論などで、憲法判断は回避されますから、憲法第9条違反と叫ぶことは、法的な観点からは、ほとんど意味はないのです。
それを前提に、集団的自衛権反対論者は、対応を検討する必要があり、結論からは、いえば、憲法第9条違反を叫ぶのではなく、議会で議席多数を取るよう努力する必要があります。

憲法第9条プログラム規定説を基本書で簡潔に説明しているのは、
京大教授の大石眞教授です。
最近の論文では、筑波大学の平山朝治教授の論文があり、第9条の制定過程を詳細に検討し、さらにゲーム理論的な観点から分析を加えており、興味深いです。
また、ブリティッシュ・コロンビア大学の松井教授ご自身はプログラム規定説ではないようですが、安全保障の問題は、政治的な問題であると述べていらっしゃいます。
なぜか、多くの人が、大石眞教授が集団的自衛権を合憲的に捉えてることや、松井教授のプロセス的憲法観に言及しませんが、ニュースで話題の学者よりはハイレベルです。
大石眞教授は、小嶋和司教授の弟子で、松井教授はもともとは大阪大学の教授です。
小嶋和司先生を知らない人は、憲法をもう少し勉強する必要があります。
信山社から「憲法概説」が復刊しましたが、またもや品切れです。





桜井俊 事務次官 誕生


嵐の櫻井翔君のお父様が、ついに総務省のトップ事務次官になりました。
以前から、東大法学部出身で次官候補と言われて、フライデーなどに写真が出ていましたが、ついに事務次官です。
息子がジャニーズアイドルの事務次官は史上初でしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿