2014/04/02

5 最終契約締結交渉


 デューデリジェンスが終わると、最終契約に向けて交渉をします。

 M&Aにおける最終契約は、具体的には株式譲渡契約や事業譲渡契約等ですが、スキーム次第で内容が変わります。場合によって、経営陣を残す場合には取締役の任用契約に近い内容が含まれることもあります。

 通常は、小規模から中規模の会社ですと、致命的な問題がある会社は少ない一方で、やはり小さい問題はあるので、買収代金が当初の想定より、減額されたり、最終契約には種々の表明・保証条項が付されることがあります。


 また、取締役会の決議が必要な場合は、機関決定のスケジュールを見ながら交渉をするので、担当者はかなりのストレスを感じることがあります。

 上場企業の場合は、開示のタイミングや開示内容を監査法人と協議をしておきます。
最終契約書の案文は、仲介会社やFAが作成することもありますが、やはりそこは素人で、法的な観点からすると、無茶苦茶な場合もありますので注意が必要です(もちろん、ちゃんとしている契約書もあります)。

 やはり弁護士に早期に検討させる方が無難です。特に、特殊な条件がある場合は、ひな形の修正をするのは難しいので、やはり経験のある弁護士に相談するのがベストです。
 

 最終契約においては、もっともクローズアップされるのは、表明保証条項ですが、小規模から中規模のM&Aにおいては、譲渡人の信用力の判断が先行します。
当たり前ですが、表明保証条項がいくら立派でも、そもそも譲渡人の信用力に問題があれば、意味がないからです。
 譲渡人が個人の場合であれば、資産がなく信用力がないと判断するのは短絡的です。むしろ、法人である場合の方が危険です。
 大した事業を行っていない法人だと空箱・抜殻にするのは簡単です。

 表明保証条項があまり効果的でもないとすると、どうすればよいか。
 そういった場合は、譲渡代金の支払を分割にするとか、最終契約締結時には対象会社の株式の全部を譲り受けないで、一定年数経過した後に残りを譲り受けるとか、いろんな方法があります。
 このあたり、案件の性質と相手方の希望にもよるので、弁護士と相談しながら交渉するしかないでしょう。 

0 件のコメント:

コメントを投稿