2014/04/30

マンションの建替えについて

 私は、プライベートでマンション管理組合の役員を長期かつ継続的にやっており、いままで管理組合の理事長、副理事長(現在)、監事、理事と全ての役職に就いた経験があります。

 日頃、マンション管理組合の理事会メンバーとして、2か月に1回くらいは、マンション管理会社の担当者と修繕積立金の「シュミレーション」をしたり、増額のタイミングに議論し、工事の見積・発注について議論したりしております。
 また、総会の前には、委任状の勧誘や議決の票読みをしたりして、現実の管理組合実務に携わっております。

 そのようなマンション管理組合の役員として一番の懸念が、マンションの建替えです。これが円滑にできるか否かによって、私を含め、他の組合員・区分所有者の将来設計も大きく影響を受けます。

 むしろ、今のうちから将来のマンションの建替えに備えて、イニシアチブを取れるようにするため、管理組合の役員をやっているといっても過言ではありません。また、管理組合に参加して、常にマンションに関する情報を把握しておけるというメリットもあります。

 なお、私が弁護士登録した後、マンション法のスペシャリストである先輩 町田裕紀弁護士と初めて共同受任したのが、マンション建替に関する区分所有権の売渡請求事件でした。
 また、マンション管理会社からの相談も多数受けたことがありますので、マンションの問題は私にとっては、公私共に重要な分野であるといえます。

 そして、マンション関係で重要なニュースとしては、平成26年2月28に、マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案が閣議決定されたことが挙げられます。

改正点としては、概ね以下の①~⑦が挙げられます。

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耐震性不足の認定を受けたマンションについては、区分所有者等の4/5以上の賛成で、マンション及びその敷地の売却を行う旨を決議できることとする

決議に係るマンションを買い受けようとする者は、決議前に、当該マンションに係る買受計画を作成し、都道府県知事等の認定を受けることができることとし、決議で定める買受人は、当該認定を受けた者でなければならないこととする。

決議合意者は、決議合意者等の3/4以上の同意で、都道府県知事等の認可を受けてマンション及びその敷地の売却を行う組合を設立できることとする。

組合は、決議に反対した区分所有者に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すことを請求できることとする。

道府県知事等の認可を受けた分配金取得計画で定める権利消滅期日に、マンション及びその敷地利用権は組合に帰属し、当該マンション及びその敷地利用権に係る借家権及び担保権は消滅することとする。

組合は、権利消滅期日までに、決議に合意した区分所有者に分配金を支払うとともに、借家権者に対して補償金を支払うこととする。

耐震性不足の認定を受けたマンションの建替えにより新たに建築されるマンションで、一定の敷地面積を有し、市街地環境の整備・改善に資するものについて、特定行政庁の許可により容積率制限を緩和することとする。

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 ここで、当然手続が円滑化されているのですが、注目すべきは、まず、第三者への売却制度でしょう。
 これは諸外国では以前からある制度ですが、第三者に売却することを前提としているので、引越が一回ですむので、面倒な手続や余計なコスト(区分所有者の賃借物件の賃料)が不必要になります。

 次に注目すべきは、容積率制限の緩和です。
 そもそも、マンションの建替えをして、メリットが出れば、区分所有者の費用負担が軽減されますし、不動産会社やゼネコンなどの事業者も参加に積極的になります。
 容積率制限の緩和による増床により、かなりのメリットが出ることが見込まれます。
ただ、マンション需要のない地域ですと、増床の効果は限定的ですから、このメリットを享受できるのは都市部の立地の良いマンションといえます。
耐震性不足のマンションに限定されていますが、なかなかインパクトのある改正ですので注目です。

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